TORQUEトーク

2026/04/01 16:38

【 TORQUE文学:イエローインパクト⑫ 】

【 TORQUE文学:イエローインパクト⑪ 】より続き
https://torque.kyocera.co.jp/chats/nh0uzaooxrdzqvhp

俺がTORQUE SMILEの会員『にせもん』氏の裏稼業の話しを終えた頃には、昼休憩の残り時間はあと10分になっていた。
「今日もイロイロと面白いお話し、ありがとうございました。」
彼女は笑顔で俺に向かって軽く頭を下げた。
「いやいや、どういたしまして。こんな話しでも楽しんでくれて良かったよ。」
本当は俺のほうがお礼を言いたい気分だ。
と思ったときに、ふと昨日の15時休憩と帰りのロッカールームでの出来事を思い出す。
若い男子社員や俺と歳の近い者たちから、昼休憩のことを尋ねられのだ。
俺がこうして彼女と昼休憩を一緒に過ごしている事が、社内ではチョットした噂になっているらしい。
俺は自然な感じで向かいに座った彼女の斜め後ろに視線を向けた。
少し離れたそのテーブルには、4人の清掃姿の年配の女性たちが、ややコチラ側に顔を向けて座っている。
清掃系に強い派遣会社からうちの社に来ている、いわゆる「掃除のオバチャン」グループだ。
明らかに俺達の事を意識しているのが雰囲気で分かる。
この「掃除のオバチャン」達は、この食堂はもとより、社内の各トイレや廊下、現場内に設置された事務部屋などの清掃をしている。
だから、この会社の中で建物全体をくまなく移動しているのは、実は彼女たちなのだ。
正確な人数は知らないが、10人くらいだろうか。
そして、彼女たちはどの部門の者たちともよく話す。
部署が違えば知らないような、社内でのチョッとしたエピソードなども、実によく知っている。
「掃除のオバチャン」達は、会社内の情報屋みたいな存在なのだ。
その情報屋の彼女たちが、静かに耳を澄ませば俺と彼女の会話が聞き取れるくらいの。微妙な距離にある席に着いている。
ダダでさえ社内で一番の美人女子と言われている秋川さんと、いつまでも現場で平社員をやってるオッサンの俺が、今日で3日も昼休憩を一緒に過ごしているのだ。
目立たないワケが無い。
と言うよりも、オバチャン達が大好物の「おしゃべりネタ」ではないか。
念の為に、俺は自分の左端のほうにも目だけで視線を移動させる。
すると、昨日の15時に俺のところに「事情聴取」に来た若い2人を送り込んだ、リーダー各と思われる連中の姿があった。
掃除のオバチャン達と同じように、やはり絶妙な距離のテーブルに着いている。
無言で食堂のTVを眺めながら缶コーヒーを飲んでいるが、きっとこちらのテーブル様子を伺っているのだろう。
(なんか…チョッとメンドクサイことになってるかも…)
さて、どうしたものか…。
そんな俺の困惑したような表情に彼女は気づいたようだ。
俺は自分の左側の連中のほうにそっと顔を向けた。彼女も俺の視線の先に自分の目をやる。
彼らは相変わらず無言のままTVを眺めているが、その姿は十分不自然なのだ。今どきTVを集中して観る若者など居ない。
頭の回転が速い彼女は、すぐに現在の状況を把握したようだ。
俺の目を見つめながらゆっくり「コクリ」とうなずく。
「今日は1人で行こうと思ってます。スタバ。」
何か意味を含んだような感じでそう言うと、彼女は悪戯っ子のように微笑んだ。
「では、失礼します。」
わずかに笑みを残した顔でそれだけ言うと、彼女はスーッと立ち上がり、優雅な足取りで食堂の出口に向かって歩きだす。
俺は何も言えないまま、去っていく彼女の後ろ姿に見惚れていた。

【 TORQUE文学:イエローインパクト⑬ 】に続く。
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1件のコメント (新着順)
にしもん@50s pro バッジ画像
2026/04/01 18:13

まるで冴羽獠みたいな裏稼業💥😀🍺✨

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