【 TORQUE文学:湾岸トルクナイト ⑤ 】
【 TORQUE文学:湾岸トルクナイト ④ 】より続き。
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深夜の大阪湾岸線で繰り広げられる、俺『にせもん』の黄色いスカイラインと『お嬢』の白いポルシェとのランデブー走行の様子は、俺の友人『むっちゃ』を通しライブ投稿され、今やSNSサイト・TORQUE SMILEの名物投稿となり『湾岸トルクナイト』を呼ばれるようになっていた。
昨夜は俺のスカイラインがお嬢のポルシェの圧倒的な速さに、ストレート区間で置いてけぼりにされた。
その話題で盛り上がる『湾岸トルクナイト』のコメント欄だが、俺とむっちゃはお嬢の車が『ポルシェ』だという部分に、お互い強く興味を持っていた。
むっちゃは昔 ポルシェ乗りを相手に公道レースをしていたせいもあり、ポルシェという車の特徴を肌を通して知っている。
俺のほうはと言えば、実は以前から次の愛車をポルシェにしたいという希望があるのだ。
そのことについては、湾岸トルクナイトの投稿がはじまる前から、俺自身が自分の投稿や他のコメントで何度も書いていた。
だから、バイクや車好きのTORQUE SMILEの会員たちには、俺がポルシェに乗りたがっていることは、承知の事実なのだ。
自分の娘ほどの若いお嬢に、俺も愛車もまったく敵わなかった。
それでも俺がそれほど悔しくないのは、相手がポルシェだったこともあるだろう。
お嬢の乗る白いポルシェは本当に速かった。
ただ速いだけではなく、300Km/h近くで走る姿もとても安定していて、危なげなところが一切無かった。
高速道路はレース場ではない。
あくまでも制限速度は100Km/hの公道なのだから、200Km/h以上のスピードで走ることなど想定されていない。
ましてや300Km/hに達する速度で走行するなんて、どこの誰が想像するだろうか。
俺のスカイラインは、湾岸線で250Km/hを超えたあたりから、真っ直ぐ走らせるだけでも結構大変なのだ。
車体自体が古くてヤレてもいることもあるが、元々の設計が30年以上前だから、すでにクラシックカーに入りかけている「20世紀」の車なのだ。
俺が中古で手に入れてからも、軽く20年以上は経っている。
スカイラインには今まで自分なりに、かなりの手を入れてきた。
エンジンも何基も載せ替えている。
今でも本気で走れば、湾岸のトップランナー達とガチで勝負できるとは思う。
なぜなら彼らもマシンも、俺のスカイラインとさほど大きな違いが無いからだ。
もぅかなり前から、日本の自動車メーカーはスポーツカーなど本気で作ってはいない。
景気が悪いとか若い人達の自動車離れとか、いろんな理由はあるだろう。
俺自身もそんな巷で言われていることも一理あるとは思うものの、それは本質的な理由では無いと感じている。
簡単に言ってしまえば、「スポーツカーなど本来必要無かった物」だったのだと思う。
だから無くても誰も困らない。
実際の話しとして、無くて嘆いているのは、俺やむっちゃのようなオヤジ連中だけだ。
俺の場合は裏稼業でバイクや車の改造屋をやっているが、別に国産車ではなくても輸入車のスポーツカーを改造していれば十分商売になる。
だから、俺は改造のベースにする車は、国産車にこだわってはいない。
現在愛車のスカイラインの場合も、次に代わりになる車が特に無かったから、結果的に長く乗ったまでだ。
中には勘違いしているTORQUE SMILEの会員達も居るが、俺は別に『スカイライン・マニア』ではない。
正直な話し、もぅすでにスカイラインには『乗り飽きて』しまっている。
次に乗る愛車に適当な国産スポーツカーが無い以上、俺の食指が輸入車に向くのは自然なことなのだ。
そしてそれが『ポルシェ』なのだ。
世間ではポルシェと言えば、いつの時代も『ドイツ製・高級スポーツカー』の代名詞として、カーマニアの憧れだ。
イタリアにも『フェラーリ』という有名なスポーツカーがあるが、あれはまた違った意味合いを持っている。
ガレージに飾ったりして楽しむのではなく、実際に所有して日常で走らせとなると、輸入スポーツカーの選択はほぼポルシェ一択となる。
多少でも車に興味がある者にとっては、ポルシェは『実用的なスポーツカー』なのだ。
高額な価格のことを批判する車好きも多いが、専門的な知識が増えれば増えるほど、ポルシェほど安いスポーツカーは無い。
日本の道路を制限速度内で走るだけなら、今なら軽自動車だってなんの不都合も無い。
だが、一端 専用コースなどに車を持ち込み、それなりのペースで走ろうとすれば話しは大きく違ってくる。
昔から現在までいつもそうだが、国産車ではまとも周回できる回数は、両手で数えられるくらいだ。
下手すると片手どころか、わずか1周すらできない車だってある。
コースを走らせるとすぐに不具合が出たり、最悪 壊れてしまったりするのだ。
だから、本気で走らせたいと思う者たちは、高額な費用をかけて愛車を改造する。
タイヤやブレーキは当然として、もぅ一台同じ車が買えるほどの費用をかけて、ほとんどの部品を交換してしまう車も珍しくない。
それに対してポルシェはどうかと言えば、市販されている「吊るし」の状態で、なんの不具合もなくコースを何周も走れるのだ。
「ポルシェほど安いスポーツカーは無い。」
と言われる理由がそれなのだ。
俺は自分が改造屋だからよく分かるのだが、バイクや車の改造は費用と時間が膨大にかかる。
それでも結果的に良くなる保証などどこにも無い。
良くなるどころか、悪くなるケースのほうが多いくらいだ。
それすらあくまでも自己責任だ。
改造に対して自動車メーカーに文句を言える理屈など無い。
俺の長い経験からも、手っ取り早く速く走りたいのなら、ポルシェはベストな選択なのだ。
もちろん俺がポルシェを手に入れれば、結果的には自分好みに改造するだろう。
でも、今の愛車のスカイラインほどの改造は、必要無いだろうと予想は立っている。
なにしろ俺は車を作るほうの立場の人間で、乗る立場の人間では無いのだ。
今の俺が乗る車には、ギリギリの限界を追求する改造などもぅ要らない。
現役のランナーでは無い俺が深夜の湾岸線を走るのは、ただ運転が好きだからだ。
だから俺は走る区間も平均速度も、自分が事故を起こさない為に、上限を低めに設定している。
今回のお嬢の白いポルシェとの走行も、無理をすれば追い着くくらいはできたかもしれない。
だが、今の俺の運転スキルと愛車スカイラインの状態では、それを行うにはかなりのリクスを伴う。
(スカイラインのエンジンがもっとパワーが出ていたら…)
(湾岸タイムアタック用のセットをしていたら…)
(お嬢の突然の加速が予測できていたら…)
(一般車がもっと少なかったら…)
(……………。)
時間が経つにつれ、そんな考えが止めどもなく湧いてくる。
そして、そんな事をむっちゃと語りあったり、『湾岸トルクナイト』に書き込んだりしたら、とても楽しい時間を過ごせるだろう。
しかし、
「…それは違う…」
と囁くもう独りの俺も、自分の中には確かに存在する。
そのもう独りの俺とは、深夜の大阪湾岸線で改造車を200Km/hで走らせている俺だ。
今 家業の花屋の仕事が終わってビールを飲んでいる俺でない。
お嬢の白いポルシェと一緒に愛車スカライラインを走らせている俺が、
「誰とも共有しなくていい。これはお前とお嬢二人だけの世界なんだから。」
と、愛車から降りている俺に囁くのだった。
【 TORQUE文学:湾岸トルクナイト ⑥ 】へ続く。
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投稿を表示心の中を読まれてる感じがしますね😀☕✨👍
こんな記事は雑誌の特集でのインタビュー以来の大作ですね😀☕
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投稿を表示にせもんが、、、にしもんに💥😱✨