TORQUEトーク

2026/04/14 14:06

【 TORQUE文学:湾岸トルクナイト ⑥ 】

【 TORQUE文学:湾岸トルクナイト ⑤ 】より続き。
https://torque.kyocera.co.jp/chats/j9xgdnab0uxlc8ze

深夜の大阪湾岸線で繰り広げられる、俺『にせもん』の黄色いスカイラインと『お嬢』の白いポルシェとのランデブー走行の様子は、俺の友人『むっちゃ』を通しSNSサイト・TORQUE SMILEにライブ投稿され、会員たちからは『湾岸トルクナイト』と呼ばれるようになっていた。
「しかし、お嬢本人からの連絡が無いのは寂しいですよね。」
まっちゃは俺とお嬢の湾岸線の様子を投稿した後には、いつもお嬢に向かってメセージを送っていた。
むっちゃ:〈大阪湾岸線で、にせもん氏の黄色いスカイランと一緒に走っている白いポルシェの女性ドライバーの方へ。もしこの投稿を読んでみえたら、いつでも構いませんのでコメント欄に連絡下さい。〉
お嬢がこのSNSサイト・TORQUE SMILEの読者であることは明らかだ。
俺が深夜の湾岸線に上がれば直ぐに後ろに付くのだから、俺の投稿から走る日時の情報を得ているのだろう。
アルコールが好きな俺は、仕事を終えるとすぐに晩酌を始める毎日だ。
当然 飲んでしまえば車の運転はできない。
だから、湾岸で愛車を走らせると決めた場合は、仕事が終るまでにTORQUE SMILEに決意を投稿している。
にせもん:〈今晩 走ろうと思う。〉
細かなことを書く必要は無い。走る場所も時間もここ数年いつも同じだからだ。
湾岸を走る夜は、店が終ると夕飯を済ませガレージで愛車スカイランの整備をする。
自分にとっては200Km/h前後というスピードは、限界走行から6・7割の力で流しているくらいのペースだ。
だが、一般車と比べれば2倍近いスピードなのだから、走る前の整備はいつも欠かせないのだ。
お嬢は俺の投稿を読んでいる。
だとすれば、むっちゃが投稿している湾岸トルクナイトも読んでいるはずだ。
お嬢が会員登録をしていない可能性も高い。
TORQUE SMILEは閲覧だけなら誰でもできるが、記事にコメントや返信は登録しなければできない。
しかし、会員登録など特に面倒なことでもない。
むっちゃの呼びかけに応える気があれば、もぅとっくに会員になって、何かしらのリアクションを起こしているはずだ。
(お嬢からの返信は来ない。)
むっちゃには悪いが、口には出さないが俺は最初からそう感じていた。
そこには何の根拠も無い。ただの直感だが、今後もお嬢は連絡して来ないだろう。
お嬢本人からの連絡は無いが、周囲からの情報みたいなものは、かなりの量がコメント欄に寄せられていた。
『湾岸トルクナイト・お嬢情報』
といタイトルで、トークコーナーにミニ企画も立ち上がっている。
〈うちの息子の彼女と同じ短大で、白いポルシェに乗ってる綺麗な女子がいる。〉
〈車系YouTuberのカワウソさんじゃないかな。〉
〈こないだ〇〇サービスエリアで、美人お姉さんが運転する白いポルシャを見た。〉
〈アイドルの△△さんが、白いポルシャで湾岸線を走るのが好きだとインスタに書いてた。〉
〈俺がいつも指名しているキャバ嬢の愛車が白いポルシャだけど。〉
〈AV女優の□□さんが、男との手切れ金代わりに白いポルシェをもらったらしい。〉
〈………。〉
『若い美女・白いポルシェ』だけしか情報が無いことが、かえって該当する対象を拡げてしまっている。
まぁ、SNSは楽しむ場所なので、特定の個人に迷惑が掛からなければ何も問題は無い。
そのミニ企画に対しては、俺は静観の姿勢を貫いている。
こういうのは当事者が参加すると、途端にツマラナくなるもんなのだ。
(白いポルシェに乗った女子って案外多いもんだな…)
俺はそれくらいなことしか感じてはいなかった。
そのことを むっちゃに話すと、
「車の色だと白は人気ありますからね。それにだいぶ前からポルシェもオートマチックがあるから、若い女子でも運転できるし。」
「別に女子がポルシェに乗ってたって、今じゃ珍しくもないんだな。」
俺や むっちゃみたいに、古い時代の武闘派『ポルシェ乗り』を知っている者には少し寂しい気持ちもあるが、ポルシェだって一企業なのだ。
偏狭なカーマニアに向けた車だけを売っていたのでは、生き残れないだろう。
「まぁ、白いポルシェの美人が日本中にたくさん居るなら、当分は『お嬢探し』の企画も退屈しないだろうね。」
「そうですね。本物が名乗り出ない限り…。」
むっちゃは少し寂しそうにそぅ言った。
「にせもんさん。これから先のことって何か考えてるんですか?」
むっちゃが言う『先のこと』が指しているのが、深夜の湾岸線での俺とお嬢のバトルのことなのは明らかだ。
「うーん、まだ昨日のことだからね。特に何も考えてないけどさ。」
「そうですか。トルクナイトの読者は期待してますよ、にせもんさんのリベンジレース。」
「そんで、俺がお嬢にヤラれてヌカれるのをネッ。」
「そんな風に言ったら、なんかHに聞こえますってば。」
むっちゃの『トホホ…』といった表情が目に浮かぶ。
「なんせ凄い美人だしね。またヤッても、アッと言う間にイッちゃうかも。」
「もぉ、ナンの話ししてんですかぁ。」
「ホントに早く終わったな、昨日は。あんな綺麗なお姉様を相手にしたんだから、もっと楽しみたかったなぁ。」
「…にせもんさん、それ以上はNGです。おやすみなさい。」
「うん、じゃぁ。」
俺達は電話を切った。
〈本当にあっと言う間に遥か彼方に行っちまったんだよ。お嬢が乗った白いポルシェは…〉
通話の切れた自分のTORQUEに向かって、俺はそう独り言を言ってみた。
さて、この先どうしたものか。
(やれやれ…そう簡単に負かせる相手じゃ無いんだけどなぁ…あのお姉様…。)
俺は肩で大きく息をつきなが、心の底からそう思った。

【 TORQUE文学:湾岸トルクナイト ⑦ 】へ続く。 

2件のコメント (新着順)
ろん
2026/04/14 21:28

コメント蘭てどんな花や😄
誤字脱字多いよ😆
お嬢はアレか 誰や🤔

にしもん@50s pro バッジ画像
2026/04/14 18:22

手の届かない相手だったとは💥😀🍺💦⁉️

単行本買いたくなりますね😀🍺✨

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