TORQUEトーク

2026/04/18 21:59

【 TORQUE文学:湾岸トルクナイト ⑪ 】

【 TORQUE文学:湾岸トルクナイト ⑩ 】より続き。
https://torque.kyocera.co.jp/chats/eysqsaqj7mosmaql

深夜の大阪湾岸線で繰り広げられる、俺『にせもん』の黄色いスカイラインと、『お嬢』の白いポルシェとのランデブー走行の様子は、俺の友人『むっちゃ』を通しSNSサイト・TORQUE SMILEにライブ投稿され、今では『湾岸トルクナイト』というタイトルの人気記事になっていた。

俺の愛車スカイラインが、今夜からエンジンの積替作業に入るという情報は、もぅすでに、その日の昼過ぎにはTORQUE SMILEに公開されていた。
予定通り、俺は花屋の仕事が終ると、サッサと夕食を済ませガレージに向かった。
いつもなら、食事よりも先に缶ビールを開ける俺だが、さすがに酔いながら作業をするわけにはいかない。
今日の仕事が終わった時に、俺は むっちゃが投稿したトルクナイトを見てみた。
そこにはたくさんのコメントが書き込まれており、その一つ一つに むっちゃの返信がしてあった。
コメントの内容は今夜から積み替え作業に入るエンジン『RB26改3.0LのGT3037SツインターボVカム仕様』、大阪湾岸線スペシャル3.0リッター通称『湾SP3』についての話題がやはり多い。
( ホントに良く覚えてるよな、むっちゃは。俺の組んだエンジンなのに、俺より詳しいんじゃないかな。)
バイクや車の改造に関しては、俺は人に言葉で説明をするのがあまり得意ではない。
昔は改造系のカー雑誌の取材をよく受けたりもしたが、その当時でも取材のスタイルは、編集者のインタビューに俺が答えるという形を多く取った。
取材する側も、雑誌という『メディア』のプロの編集者なので、車の走行やメカに関しての知識は一般の車好きの比ではない。
だが取材当日にはじめて聞かされる、編集者からの直の質問内容には、俺を満足させるものは皆無に近かった。
取材当日に俺にする質問などは、あらかじめFAXなどで俺の元に送られて来たので、俺は必要なら自分の整備記録を調べたりもした。
だから、FAXで送られてくる質問内容に対する、当日の確認などはそれほど重要ではない。
俺の口から出る言葉よりも、FAXで送り返した返答のほうが正確だ。
当日の限りある取材時間内で、出来る限りの俺から情報を引き出すために、とても効率よく質問内容は組み立てられていた。
「現在にしもんさんのスカラインに装着しているのは、F1タービンなんですよね?」
「はい。そうですね。」
「F1タービンを使うのには、どんな理由があるのでしょうか?」
「高回転が気持ちよく回るからですね。」
「F1タービンの他にも高回転のフィーリングの良いタービンもありますよね?」
「まぁ、いままでいくつか試した中では、一番自分に合ってる気がします…。」
まぁ、おおかたがこんな感じ取材は進むのが普通だ。
まだ駆け出しの編集者や取材のヘタな者になると、やたらと「なぜ?なぜ?」を連発してくる。
コレが俺にはとても苦手だった。
まるで自分が悪いことして、その理由を問い詰められているかのような錯覚に陥るのだ。
たいていそんな気分になった取材は、記事が掲載される雑誌が送られて来て読んでみると、失望することが多い。
記事になった文章には、俺が言ってもいないことが多く書かれている。
俺の言葉を勝手に過小評価したり過大解釈したりして、読者の即効性の強い反応を狙っているのだ。
『F1タービン』にしたって、俺が自分が試した範囲の中では自分が良いと思っただけだ。
それなのに、記事なったものを読んでみると、
「今まで数多くのタービンをRB26エンジンで試しましたが、やはりF1タービンのフィーリングは他を圧倒するものを感じました。」
と、なっているではないか。
俺はこんな断定的な言いかたをした覚えはないが、わざわざ抗議してもはじまらない。
2日後が発売日となっているその雑誌はすでに大量に印刷され、書店に並べるために全国に発送されているのだから。
メディアというものが、いかにイイ加減なのかを学ぶことにはなったので、良い社会勉強だと思うしか無かった。
( そう言えば『CARBOZU』っていう月刊誌の、藤本っていう編集者は好きだったな。 )
ほとんど稀なのだが、中にはとても好感度が高い編集者も存在する。
そのような編集者は、こちらの考えや思いを上手く引き出してくれるので、俺のほうも自分でも驚くほど話しが弾む。
取材の予定時間を大幅に超えて、お互い改造車について遅くまで語り明かしたことが何度もあった。
記事になったものを読んでも、自分の気持が上手く活字で表現されいる。そこには嘘も無い。
(あんな人がたくさん居たら、改造車は今頃もっと面白い事になってたかもな…)
今のこのガレージには、休日ともなれば俺の車好きの仲間たちが、どこからともなく一人二人ブラリと現れる。
個人が趣味で所有するには、このガレージは十分の広さを持っているので、皆が来ること自体は俺はかまわない。
お菓子やジュースなどの差し入れを持って訪れる者も多い。
自分の車を整備する者や、ガレージの雑誌や本を読む者、他の仲間たちとのおしゃべりに花を咲かせる者など、各自が自由に利用している。
俺も『闇の賭けレース』に出場する客から依頼が無い時は、その者達と一緒に休日を楽しんでいる。
年齢は俺の前後だから、ほとんどの者が昭和の末期か、平成の初期に免許を取得した者が多い。
しかし、そんな同年代近くの車好きの者たちの中でも、俺が心底車の話しをしたいと思える者は、実は驚くほど数が少ない。
どんな趣味・道楽にも、それを行うのは個人なのでそれぞれの考えや思いが存在する。
簡単に言ってしまえば「好み」の一言で片付く感覚だ。
バイクや車の道楽にも、当然それは存在する ” はず ” なのだが、どういうワケかそのような個人的な好みが、とても薄い者が多いのだ。
俺のガレージに集まるバイク・車好きにも、残念ながらその傾向が強い。
大多数の者たちは、とても長い期間をバイクや車の道楽に費やしているにも関わらず、俺から見るととても画一的な考えかたをしている。
もちろんそれは、俺の主観から観える感想だから、俺も彼らの考えに意見したりはしない。
世間一般の基準では、バイクや車は『カッコ良くて速い』というのが、マニアたちが求める価値なのは俺も同意見だ。
そして,その『カッコ良い』『速い』というものの中身については、個人々の違いが出て当然なのだ。
だが、実際の話しとしては、そんな風になっていないのが、今の『バイク・車』の道楽の実態なのだ。
それには現代の、ネット社会の影響も強いのかもしれない。
人気とされる車種や乗り方などに、かなりの偏りがある。
いつまでもいつまでも、昔に流行った漫画に出てくる世界観が引き継がれいるケースも非常に多い。
それが、その時代をリアルタイムに体験した者たちなら、俺も話しは分かる。
だが、体験するどころか自分が生まれてさえいなかった時代の出来事に、勝手な想像を加えて憧れる者たちが後を絶たない。
( まぁ、漫画やアニメに憧れるくらいなら、何の罪も無い話しだけど…)
俺が一番残念だと実感しているのは、そのようなメディアから流れてくる情報に、経験豊富な者たちすら洗脳されているということなのだ。
今は情報の大半はインターネットだが、少し前まではTVや雑誌がその役割の大半だった。
そこに書かれている記事を、そのまま鵜呑みに信じてしまい、自分の主観を鈍らせてしまう者は昔も多かった。
TVや雑誌がインターネットに変わっただけで、やはりメディアから流される情報の洗脳は今も続いていると、俺は思っている。
( それにしても、俺自身がSNSとうい一種のメディから発信する立場になったとはな…)
だから俺は、むっちゃには正確な情報を流して欲しいと思っている。
たとえそれが、第三者から見ればとてもツマラナイものでも、面白さを優先して事実を歪めることはしたくは無い。
実際に投稿している むっちゃと俺は長い付き合いだから、俺のそんな気持ちは、彼には言わなくても良く分かっている。
だから俺は、これからも『湾岸トルクナイト』の投稿は、彼に全面的に任せるつもりでいる。
「さて、そろそろ始めようか。」
誰も居ない一人のガレージで、俺は愛車のスカイライン向かってそう告げた。

【 TORQUE文学:湾岸トルクナイト ⑫ 】へ続く。
https://torque.kyocera.co.jp/chats/eel6046hwjowjnzi

1件のコメント (新着順)
にしもん@50s pro バッジ画像
2026/04/19 10:47

記事って読み手が面白く感じる様に書く人が変えてるんですよね😀👍✨
鈴鹿走ってる時に私がトラブルでピットインして修理してると

🪖どうしてまだ時間が有るのに帰って来たんですか❓️

😀今日は(マシントラブルで)これ以上速く走れないんで、、、

📢(場内放送)トップタイムを抜かれた〇〇!鬼の形相で最終ラップに入った!

🪖会心の一周だったんですね!
😀はい(違うわ💦)
⛑️表彰式始まります〜今日は屋内ですのでシャンパンは開けないで下さい〜

🪖面白い記事が出来そうです📝優勝おめでとう🎉
😀えぇ゙💥⁉️

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