【 TORQUE文学:イエローインパクト⑯ 】
【 TORQUE文学:イエローインパクト⑮ 】より続き
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彼女『秋山 零奈=レイナ』が、俺『北見 淳=ジュンテンダーJ.K』とメールアプリ・ラインで『メル友』になった理由が、俺の「職人風情」とも表現できる会社での所属意識によるものだった。
秋山さんが務める総務課は、社員の個人情報を管理している為に厳格な「守秘義務」があるらしい。
それゆえに、社内では軽はずなおしゃべりもできずに、彼女は同じ会社の人間の付き合いに不自由していたようだ。
「昨日のこのスタバに来たんだよね。TORQUE SMILEに投稿する写真を撮るのに。」
俺はまたアイスコーヒーの一口飲んでそう言った。
「そうです。同じ総務課の女性ですけどね。『スマホの写真を撮って欲しいから』って、誘ったんです。」
彼女も自分のフラペチーノを飲みながらそう言った。
「その人とはよく一緒にココに来るのかな?」
ひょっとしたら、このスタバは会社の事務系の人間がよく利用しているのかもしれない。
「いえ、昨日がはじめてです。職場の人と会社以外で会ったのも昨日がはじめてです。」
やはりさっき聞いた「守秘義務」の影響だろう。
彼女にとっては同じ社内の人間は、気軽におしゃべりする相手では無いようだ。
「てっきり中の良い同僚と、いつもの会社帰りにお茶してる場面を想像してたよ。」
「まぁ、そんな風に見えるように撮ってますけどね。私の『TORQUE G07』と一緒に、二人の注文したフラペチーノのを写したりして。フフフッ。」
最後の「フフフッ」が悪戯っ子のようで可愛い。
「実は俺、はじめてなんだよね。スターバックスに来るのって。」
「そうかもって思ってました。」
やはり短大時代のスナックのアルバイトで習得したのだろう、俺くらいの中年オヤジの特徴を。
俺は以前ネットで読んだ『ある記事』のことを思い出した。
ちょうど今、スターバックスに女子と居るんだから、そのことを話題にしてみようと思った。
「そう言えば、だいぶ前に『スタバ女子』が書いた記事がチョッと話題になったんだけど…知ってるかな? 」
「あっ、たぶんアレのことですよね。アチコチで凄く炎上してた〈スタバしか勝たん。〉って書いてある。」
運よく彼女は知っているようなので、一から説明する手間が省けようだ。
その記事は、元銀座でホステスをしていた女性が『不二子』というハンドルネームで書いたものだった。
記事には『 女達はなぜこぞってスターバックスに行くのか 』というタイトルが付けられている。
4年くらい前に一般公開されたものだが、今でも記事はそのままの状態で残っていて、誰もが自由に閲覧することが出来る。
「そうそれ。やっぱり秋山さんも知ってるんだね。あの記事。」
「はい。ちょうどスナックで働いてる時でしたね。お客さんの男性たちも、よく話題にしてましたから。」
俺はその記事の中の、女子がスタバに行く理由が『スタバにはおじさんがいないから。』と書かれていたのを今でも覚えている。
「俺みたいな中年オヤジが読んだら頭に来る記事だけど、俺は忌憚なく書かれていて良いと思うけどね。」
実はこの記事は、知人で同じTORQUE SMILE会員の『アンダー商会』と珈琲を飲んでる時に、彼から教えてもらったものだ。
今はハレンチなサイトに夢中な『アンダー』だから、彼から聞いたこと事は秋山さんには言わない事にする。
「あれっ? 珍しい反応ですね。スナックのお客さんたちは、怒ってる人ばっかりでしたよ。あの記事。」
そう言って彼女は笑った。
「あくまでも書いた女性の素直な気持ちだからね。俺は元々スタバに行かないから関係無いし。」
「スナックに来るお客さんたちも、スタバには行ったこと無い人ばかりでしたよ。でも皆さんカンカンに怒ってましたね。」
「秋山さん。なんでオジサンたちはそんなに怒ってたんだろうね。」
「それはぁ…オジサンは汚いとか…臭いとか書いてあるから…」
彼女はチョッと言いにくそうに、オジサンの俺に向かってそう答えた。
「自分たちのことに自信が無いからだよ。」
俺は簡潔にそう言った。
彼女は何も言わず黙ったままでいる。俺の次の言葉を待っているようだ。
「どこの誰に何を言われようが、自分に自信があれば腹なんて立たない。俺はそう思うんだ。」
「確かにそうかもしれませんね。」
彼女はすでに、俺の言いたい事は全て理解しただろう。
俺は続けてこう言った。
「歳をとって会社では部下や後輩がたくさんいる偉い立場になっている者たちが、どうしてたかだか20代のどこの誰かも分からない女が書いた記事に、それほど腹を立てなくてはいけないのか?」
俺は彼女にそう問いを投げかけた。
彼女の口から出た回答を、直接自分の耳で聞きたかったのだ。
「年齢と立場は上がっていたとしても、自分の中身には自信が無いという事ですね。だから取るに足りない子供じみた戯言に、皆さん過剰に反応していた…。」
俺の期待を遥かに超える回答だ。
やはり彼女は最高だ。
【 TORQUE文学:イエローインパク⑰ 最終話 】に続く。
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