【 TORQUE文学:湾岸トルクナイト ⑧ 】
【 TORQUE文学:湾岸トルクナイト ⑦ 】より続き。
https://torque.kyocera.co.jp/chats/s2rkbdfrb6kyj6zw
深夜の大阪湾岸線で繰り広げられる、俺『にせもん』の黄色いスカイラインと、『お嬢』の白いポルシェとのランデブー走行の様子は、俺の友人『むっちゃ』を通しSNSサイト・TORQUE SMILEにライブ投稿され、今では『湾岸トルクナイト』というタイトルの人気記事になっていた。
(お嬢のポルシェと勝負するなら、タイムアタックでは無理。)
SNSを通して彼女と連絡が付かない以上、先日の夜のように2台で直接バトルするしかない。
俺がここ数年間 愛車スカイラインを走らせているのは、大阪環状線の中島本線料金所から4号線の出島ICまでの16km区間だ。
深夜のこの区間を俺は独り、平均200Km/h前後のペースで走っている。
特にタイムなど気にしてはいないが、毎回 約5分弱の時間で走り切っている。
タイムを縮めようと意識して走れば、今の愛車の状態でもまだまだタイムは削れるだろう。
だが、お嬢の乗る白いポルシャとのレースとなれば、今の俺のスカイラインの仕様では、まるでお話しにならない。
前回の走行で約200Km/hからのダッシュで見せたお嬢のポルシェの加速の鋭さ…。
あの光景を見た瞬間に、俺は自分のスカイラインでポルシェの前に出るのは無理だと悟った。
前に出れないと分かっていても、彼女とポルシェがどんな走りをするかに興味があって追ったまでだ。
それは俺の予想通りの走りだった。
『長く全開にできる直線』が訪れるまでは…。
あの時。
俺とお嬢の2台、お互いに何の躊躇も無くアクセル全開のまましばらく走れる状況が訪れた時。
250Km/hの速度から全開加速した俺のスカイラインは、お嬢のポルシェにドンドンと離されていった。
スカイランのスピードメーターが280Km/h を指す頃には、お嬢のポルシェは俺の視界から消えていた。
お嬢のポルシェの全開走行は俺の予想を遥かに超えていた。
最初の200Km/hからのダッシュで、〈コレは敵わない…〉とは思っていたが、まさかあそこまでの速さを持っているとは…。
やはり『オールクリア』の状態で全開走行をしてみないと、本来の速さは分からない。
超高速域でのタイムアタックの経験の無い者は、
「高速道路なんだから直線の勝負なんていつでもできる…」
などと思っていることが多いが、それは大きな間違いだ。
制限速度で走っていれば単調な直線に見えたとしても、それが2倍の200Km/hに達すれば、そこは「カーブしている」と言っても何ら差し障り無い場合も多い。
仮に200Km/hで走って完全に直線だと言える道でも、公道では常に一般車が走っている事を忘れてはならない。
2倍以上の速度差がある一般車をかわす為に、運転は常に車線変更を余儀なくされるので、その完全な直線すらもぅ直線ではなくなる。
『高速スラローム』だ。
路面の状態も完全な水平ではない。
普段は何も問題の無い窪みや傾斜なども、速度が上がるほどに走行に影響してくる。
200Km/hですらコレなのだから、250Km/ h、300Km/hと速度が上がれば、もぅ真っ直ぐで平坦な道などどこにも無いのだ。
300Km/hを超えれば、車は常に高速コーナリングを繰り返しながら、ジグザクに蛇行しているとの同じ状態になる。
一般車の存在が無く見通しが効く全開走行が可能な状態が『オールクリア』などと呼ばれていたりするが、具体的な場所よりもその状況が訪れた瞬間を指している場合がほどんどだ。
レースコースなどの閉鎖的な場所ではなく、一般公道でそんな『オールクリア』な状況が訪れた瞬間に、バトルしている2台が同時に全開走行でスピードを競い合うとういうのは、なかなか難しい話しである。
( まぁ、いくら考えたところで、結論は同じ所に落ち着くだろう。)
俺は今回の件では、お嬢とポルシェに運命のようなものを感じていた。
いつかは愛車のスカイラインに載せる時が来ると思っていたエンジン『湾岸スペシャル3.0L=湾SP3』。
ついにその時が来たのだと思う。
たぶんこの機会を逃したら、俺はあのエンジンを回すことなく、今の愛車スカイランを手放してしまうだろう。
正直、俺はそれでも良いと思っていた。
スカイラインも湾SP3エンジンも、俺が手放す気があるなら連絡して欲しいという者が、現在でも数名いる。
しかし、先日のお嬢のポルシェの全開走行を見せられてしまい、長い間 俺の中で眠っていた『走り屋魂』に再び火が着いてしまったようだ。
昨日は むっちゃのほうから俺のTORQUEに電話があったが、今夜は俺のほうからかけた。
4回目の着信音のあと むっちゃが出た。
「もしもし、俺だけど。今 ガレージに居るんだ。」
「はい。えっ、今夜 走るんですか?」
平日の夜に俺がガレージに居るのだから、そう思われても仕方がない。
「いや、違うよ。走るなら昼間にTORQUE SMILEに投稿してるしね。」
「そうですよね。と、なるとぉ…(笑)」
彼の言葉の最後に含まれた微かな笑いで分かる。
( …まぁ、昨日の今日さ、全てお見通しだわな… )
今 どうして俺がガレージに居るのかが。
俺がお嬢のポルシェとヤル気になってることが。
すでにスカイラインの仕様変更を考えていることが。
TORQUEの向こう側の むっちゃは、もぅ全て見抜いてるのだ。
【 TORQUE文学:湾岸トルクナイト ⑨ 】へ続く。
ミュートしたユーザーの投稿です。
投稿を表示相当湾岸ミッドナイトを読み込んでるかAIなのか💥😀⁉️✨👍
話の流れ的には平本R付近の、、、
🚗💨