20260621 父の日に向けて
ギャルは朝からキメている。
スーツの肩は鋭角、ヒールはコツコツ、香りはバブリー。
「父の日?
あたしが盛り上げなきゃ誰がやるのよ」
と、誰にも頼まれてないのに使命感だけは満タン。
ギャルはデパートのメンズフロアに降り立つ。
ネクタイ売り場を仕切る — 「この色は攻めすぎ、こっちは守りすぎ」
店員を巻き込む — 「ねぇ、うちの父に似合う“バブルの残り香”ある?」
最終的に自分の好みで決める — 「父のため?違うわ、あたしの美学よ」
父はたぶん地味な靴下で喜ぶタイプだが、ギャルはそんなこと気にしない。
ギャル「父の日おめでとう!はい、これ!」
父「お、おう……ありがとな」
ギャルは心の中で叫ぶ。
「もっと喜びなさいよ!
母の日のリアクション見たでしょ!?」
渡したネクタイは、翌年の父の日までタンスの奥で眠る。
ギャル「なんで使わないのよ」
父「もったいなくてな……」
その“昭和のもったいない精神”に、ギャルは肩パッドを震わせる。
父「お前が選んでくれたんだろ。
大事にしてるんだよ」
ギャル「……そういうの早く言いなさいよ」
照れと愛情がぶつかって、ギャルのアイラインが少しだけ揺れる。
父の日や
背中で受ける
ありがとう
幼い頃の彼女は、父のワイシャツの袖を引っ張りながらこう言うタイプだった。
「お父ちゃん、今日のネクタイ、攻めてないわよ」
父「攻める必要はないんだが……」
この頃からすでに、色彩感覚と“仕切り癖”が芽を出している。
夕方、玄関の鍵がガチャッと鳴ると、幼いギャルは全力で走っていく。
「おかえり!今日の戦果は!?」
父「戦果って……ただの会議だぞ」
彼女にとって父は、“帰ってくるヒーロー”だった。
幼いギャルは、父の晩酌セットを並べるのが好きだった。
おちょこを選ぶ — 「今日は青ね、落ち着いた感じで」
つまみを勝手に盛る — きゅうり多め、父はそんなに好きじゃない
席順まで決める — 「お父ちゃんはここ、あたしはここ!」
父は苦笑しながらも、その“プロデュース”を毎日受け入れていた。
ある日、父がスーツを脱いでハンガーにかけた瞬間、幼いギャルはそっと袖に触れた。
「これ着たら、お父ちゃんみたいに強くなれる?」
父は少し驚いて、でも優しく笑って言う。
「強さってのはな、
人を守りたいと思う気持ちだよ」
その言葉が、後の“肩パッドの美学”につながる。
幼いギャルは、折り紙でネクタイを作った。
父「おお……これは……派手だな」
「攻めてるでしょ!」
父はその折り紙ネクタイを、翌日スーツの内ポケットにそっと忍ばせて出勤した。
母「なんで持っていくの?」
父「……大事だからな」
幼い彼女はその背中を見て、胸の奥がじんわり熱くなる。
父の背に
肩パッドより
大きな影
大人になった今でも、父の日だけは胸の奥がざわつく。
肩パッドを整えながら、ふとつぶやく。
「……なんであたし、父の日だけソワソワすんのよ」
その瞬間、コーヒーの湯気の向こうから、幼い日の玄関の光景がふっと立ち上がる。
鍵の音が鳴るたび、幼いギャルは全力で走っていた。
「お父ちゃん、おかえり!今日の戦果は!?」
父はいつも同じ笑い方をした。
照れたような、でも嬉しそうな、あの“ちょっとだけ口角が上がる笑い”。
大人になった今、その笑いを思い出すだけで胸が温かくなる。
父が脱いだスーツに顔をうずめて、「これ着たら強くなれる?」と聞いた日のこと。
父は少し考えてから言った。
「強さってのはな、人を守りたいと思う気持ちだよ」
その言葉が、今のギャルの“背筋の伸び方”を作っている。
幼いギャルが初めて作った父の日プレゼント。
派手な折り紙ネクタイ。
父は翌日、スーツの内ポケットにそっと忍ばせて出勤した。
母「なんで持っていくの?」
父「……大事だからな」
その背中の広さと不器用さが、今でも胸に刺さる。
幼いギャルは、父の晩酌を勝手にプロデュースしていた。
「お父ちゃんはここ、あたしはここ!」
父は文句も言わず、その“謎の席順”を毎日受け入れていた。
大人になって思う。
あれは父なりの愛情だった。
ギャルは実家に向かう。
手には、父が絶対に照れるであろうプレゼント。
玄関を開けると、父は昔と同じ笑い方をする。
「おう……来たのか」
その声を聞いた瞬間、幼い日の記憶が一気に胸に流れ込む。
ギャルは照れ隠しに肩パッドを直しながら言う。
「父の日だからね。
……ほら、受け取りなさいよ」
父は不器用に笑って、小さく「ありがとな」と言う。
その“音量の小ささ”が、幼い頃からずっと変わらない。
父の日や
幼き日の影
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投稿を表示母の日にはプレゼント来るのに、父の日は中々何も来ない。私だけか?
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投稿を表示娘がいたらいいなあ‥
と、チョットだけ思いました👍️