山の女神

画:mw_me 文:イワナ
仕事に疲弊し妻との関係も冷め、ただひたすらに、無味乾燥な毎日を耐えて生きる男。たったひとつの楽しみは、週末の渓流イワナ釣りだけ。
そんな男が渓流に入って来ると、 山の女神は鹿や猪などの獣に姿を変えてこっそりと後を付けて来ます。 女神は動物の姿で少し離れて、男の立ち振る舞いを観察し続け‥その人柄と成りを見極めるのです。

やがて、男がそのお眼鏡に叶うと判断すると、動物から女神に戻り、女神は初めて男の前にその姿を現します。
驚いている男を尻目に、女神は男の手を引いて、自分に付いて来るよう促します。

男は女神の美しさに魅了され、誘われるままに山道を付いて行くと‥やがて小さな山小屋が現れ、そこでもてなしを受けます。
そして一夜を共にした翌日、男は一度家に帰されるのですが‥街に戻っても渓流で出会った女神が忘れられずに気もそぞろ。

仕事は手に付かず、女房の話しもうわの空。居ても立ってもいられなくなり、憑かれたように、また渓流の山へと戻ってしまいます。
それっきり男は帰って来ません。どんなに捜索しても、山小屋に続く道が発見される事はありません。
女神が山菜を採り、男がイワナを釣る、質素ですが楽しい日々。

仕事、お金、人間関係といった下界のしがらみから解放された魂の楽園。 女神は男を大事にし、次第に男は下界に残して来た家族の事すら忘れてゆきます‥
やがて長い歳月が過ぎ、女神と仲睦まじく暮らして来た男も年を取り‥女神に看取られながら最後の時を迎えます。

男が息を引き取って後‥女神がどんなに悲しみに暮れても、男は帰りません。 年を取らない女神は、若く美しい姿のまま、独り取り残されるのみ。
それでも女神は、最後を迎えた男の魂を、出会った渓流に導きます。 男の魂は川の流れに乗り、やがて大海に出て‥この世の苦悩から解き放たれ、浄化されていきます。

それから長い時が経ち‥ 女神は次の伴侶を求め、再び沢に降りて行くのです。 そして永遠に続く男たちの輪廻転生。
以上が、われわれ渓流フィッシャーマンが源流に魅せられる本当の理由なのです。
解禁を待ちわびて気もそぞろ。 普通の人には理解できない、渓流に魅せられる釣りキチ達の謎‥これでお分かりいただけたかと思います。
そう、渓流に魅せられた男達は、みな女神に出会っているのです。
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投稿を表示ストーリーも画も素晴らしいですね。ついつい話に引き込まれてしまいます。🤟
この山の女神には、ひょっとしたらセイレーン(Siren)という縁者がいたりするのかな。あの美しい歌声で船乗りたちを魅了する方なのですが。歌声の虜になった船乗りたちは操作を誤り、遭難した挙げ句にその妖女に取り込まれてしまうのです。取り込まれた船乗りたちは数知れず😨
「イワナ」さん、「mw_me」さんもその女神の縁者、なんてことはありませんよね😉
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投稿を表示おやすみなさい
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