朝の渓流。
北見が胸を張って言った。
「今日は絶対デカいの来る。なんか“気配”がするんだよ」
秋川はコーヒーをすすりながら、
「昨日も同じこと言ってボウズだったよね」と淡々。
一投目。
ルアーが水面を切った瞬間、流れの奥で“何か”が光った。
北見「ほら来た!あれ絶対デカい!」
秋川「いや、あれ魚のサイズじゃないでしょ…光り方がもう…家電」
光はゆっくり沈み、また浮かび、こちらへ近づいてくる。
北見「うわ、来る来る来る!構えろ!」
秋川「いや待って、構える方向が違うって!」
その瞬間、水面がふっと凪ぎ、
足元の水がわずかに持ち上がった。
北見「……今、誰か通った?」
秋川「知らんけど、私の長靴だけ濡れたんだけど」
風が戻り、渓流の音も戻った。
さっき光った場所には、季節外れの桜の花びらが一枚。
北見「……これ、釣れる?」
秋川「無理。花びらはリリース対象」
2026/04/11 06:13