温泉岩魚 ①前編
画:mw_me 文:イワナ
その日の渓谷は、どこか様子がおかしかった。梅雨入り直前、ハルゼミが鳴く新緑の渓流。しかし、例年と比べ極端に水量が少なく、細まった流れは去年と全く違う渓相に見えた。そう言えば‥昨夜のニュースが、全国的な渇水とダムの貯水率低下を報じていた。

入渓地点から二時間、二キロほど釣り上がってきたたが、釣れないどころか、イワナの影すら一度も見ていない。去年、あれほど釣れたイワナたちは、一体、何処へ行ってしまったのだろう?まさか、死に絶えてしまったとも思えないが‥
そんな事を考えながら遡行を続けるうちに、ついに最終目標地点の明神滝に着いてしまった。高さ10mほどの直瀑で、恐らくイワナはこれ以上登れない「魚止め滝」‥自分が越えるにしても、クライミングの技術と装備が必要になる。加えて、単独登攀は危険過ぎた。

つまり、この滝壷が本日最後のチャンスという訳だ。覚悟を決め、一投目のキャストに入ろうとした瞬間、異変に気付いた。
「バシャンッ、バシャッ‥」滔々(とうとう)と落ちる滝の音とは、明らかに違う水音。音の方向へ目をやると、淵の近くの水溜まりで何かが跳ねている。近づいてみると‥かつて川底だった場所が渇水で露出し、川から外れた大きな水溜まりが出来ている。そこで大きな魚が跳ねているのだ。

その巨大魚は、今まで見た事も無いような、大きな岩魚だった。目測でも、体長は70センチを超えてるだろう‥そいつが浅い水溜まりで、巨体を横たえながら必死にバタついているのだ。恐らくは、日本の岩魚の記録を塗り替えるくらいの大物だった‥
つづく
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投稿を表示mw_meさんと私の合作第二弾です。今回は、私の趣味のイワナ釣りで、よく通う実際の渓流をモチーフにしたフィクションです。
前編、中編、後編の3部作となりますが、ミステリーと少しのエロティシズムを加えた大人のストーリーに挑戦してみました。
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投稿を表示岩魚デカ~~いょ~🍺🍻🎉😊🐰🦌