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2026/05/15 10:19

小説 まさこ日記 ①

わたしは、ひまわりぐみの〈まさこ〉です。

いつもくびから、あかいスマホをさげています。

きょうせらさんの、トルクじー06っていう、とってもつよいスマホです。
まさこは、スマホをすぐおとして、こわします。
ガラケーのときも、なんこもこわしました。
だから、まさこはガラケーのときから、がんじょうなのしか、もたせてもらえません。
でも、いまのトルクじー06は、きれいなあかいいろだから、とってもすきです。
きょうは、おてんきがいいから、おひるごはんをたべてから、しょくぶつこうえんにきています。
もぅ、なんかいもきてるし、おうちからもちかいから、ひとりできました。
ここにきて、たくさんのおはなさんをみていると、とてもたのしいです。
おかあさんからは、あぶないから、ひとりでいっちゃダメって、いわれています。
だけど、おうちからちかいので、だいじょうぶです。
おかあさんは、まさこのことを、しんぱいばっかりしています。
おとうさんが、しんじゃってから、おかあさんは、よけいまさこに、くちうるさくなりました。
まさこのしってるひとたちは、みんな、

「おとうさん、まだわかいにのにね、ざんねんだね、かわいそうだねっ。」

て、いってました。

「まさこちゃん、おかあさんのいうこと、ちゃんときかないとダメだよっ。」

て、まさこにいいます。

おかあさんは、だれかにあうと、いつもこんなふうに、いってます。
「おとうさんたら、じぶんだけ、さきにいっちゃって。あたしひとりに、まさこをおしつけて、ズルい。」
おかあさんは、そんなに、まさことふたりが、いやなのかなぁ?
あるひ、きんじょのひとと、おはなししてるとき、おかあさんが、いつものことをいったから、
「だったら、おかあさんも、おとうさんのところに、いっちゃえばいいよっ!」
って、まさこがいったら、おかあさんは、おにのような、おかおになっておこりました。
「あたしがいなくなったら、あんたどうすんだっ! ひとりじゃ、なんにもできないくせにっ!」
そういって、りょうほうのてを、げんこつにして、まさこのあたまを、ボコボコと、ちからいっぱい、たたきだしました。

ボコボコボコッ!ボコボコボコッ!ボコボコボコッ!
「いったーいっ!、いたいっいたいっ、いたいよーっ!」
おかあさんの、ほそいうでからは、しんじられないほどの、すごいちからでした。
「あんたがさきに、おとうさんのとこ、いけぇーっ!」
「いたいっ、いたいっ、おかあさんっ、やめてーっ! 」
「まさこちゃんのおかあさんっ、おちついて、だめ、だめ、もぅやめましょうっ、ねっ、ねっ!」
きんじょのひとのおかげで、やっと、おかあさんは、まさこをたたくのをやめました。
「…うっ、うっ、あぁっ…あっ…うわーっ…わーんっ!」
おかさんは、そのばにすわりこみ、なきだしました。
わたしは、いたくて、いたくて、なにもいえず、あたまをかかえて、どうろにうずくまりました。
もぅすこしで、わたしのあたまは、こわれてしまうところでした。
つぎのひ、せんせいに、このはなしをしたら、おかあさんと、おはなししてくれるって、いってました。
そんなことがあったので、おかあさんがよそのひとに、なにをいっても、わたしは、だまってることにしました。
おかあさんと、あんまりおはなししなくなって、まさこはだれともあんまり、しゃべらないようになりました。
まさこは、むくちになりました。
っていうか、むくちをすることに、しました。
いちど、あたまをこわされそうになったから、まさこもべんきょうしたのです。
まさこみたいな、オバカさんは、あんまり、しゃべらないほうが、あんぜんかもしれないと。

いまは、もじだって、ならってるから、おてがみも、もぅすぐかける。
それに、ここでさいてる、おはなさんたちも、だれもことばなんて、はなしません。
おはなさんは、さいしょからおくちがないので、しゃべれません。
だからまさこも、ここではしゃべらなくてもいいのです。
しゃべらなくても、おはなしはできます。
こころで。
まさこは、ここでは、こころでおはなししています。
おはなさんたちと。

まさこがおはなさんと、こころでおはなししていると、むこうから、しってるおばあさんが、やってきました。

おあかさんの、おともだちの、おばあさんです。
「おやぁ、まさこちゃん。おかあさんは、どうしたの。ひとりかい?」
だまって、コクリとうなずく。
「あらぁ、ダメじゃないの。おひるごはんは、たべたのかいっ?」
だまって、コクリとうなずく。
「おかさんがしんぱいするから、はやくおかえりよ。」
だまって、コクリとうなずく。
おばあさんは、ゆっくりゆっくり、つえをつきながら、あるいていってしまいました。
まだ、おひるであかるいから、おかあさんがいなくても、ひとりだって、だいじょうなのに。
おとなのひとは、みんな、わたしをみると、ちゅういばかりします。
まえは、いちいち、

〈だいじょうぶだよぉっ! まさこはもぅ、おおきいんだからっ!〉

って、おこって、いいかえしてました。
でも、いまのまさこは、むくちになったのです。
むくちになってみると、そのほうがらくでした。
どうせ、わたしがいってることなんて、だれも、ほんきで、きいてなんかいないのです。
おもいかえすと、ずぅーと、ずぅーと、いままで、ずぅーと、そうでした。
むくちになるまえの、わたしは、なんて、むだなことを、していたのだろう…。

もぅ、いまは、こえのだしかたさえ、わすれたかもしれません。
こんどはむこうから、きいろいぼうしのおとこのこが、おかあさんといっしょにあるいてきた。
きいろいぼうしをかぶっているから、しょうがっこうの、いちねんか、にねんだ。
「あっ、まさこだぁーっ!おかあさん、まさこがひとりでいるーっ!」
まさこは、おとこのこたちは、すきじゃない。
みんなすぐ、まさこをみると、バカにするからだ。
「バァーカッ、バァーカッ、まさこのバァーカッ!」
「コラッ。そんなこといっちゃあ、イケマセン。」
となりにいた、おとこのこのおかあさんは、ちゅいういしました。
「だってぇ、バカなんだよ、あいつっ!」
まえの、まさこなら、
「バカじゃないもんっ、あっかんべぇーっだっ、ぶぅーだっ!」
って、いいかえしてたけど、いまではだまっています。
ふふふっ、わたしは、むくちになったんだもんね。
きいろいぼうしの、おとこのこを、わたしはだまったまま、みつめました。
ジィーって。
わたしに、みつめられた、おとこのこは、なんだか、おかおが、まっかになってきてます。
そわそわして、あちこちをみまわし、キョロキョロしてます。
「…チェッ、つまんねぇの…おかあさんっ、もぅいこぅっ!」
おとこのこは、おかあさんのてをひっぱり、さきにあるきだしました。

「どうも、スミマセンでした。ごめんなさい、ゆるしてね。」
おやこふたりは、どこかへいってしまいました。
こんなふうに、バカにするおとこのこも、ずいぶんへってきました。
むくちになって、いいかえさない、わたしが、つまんないのかもしれない。
まさこがだまったまま、ジィーとみつめると、おとこのこは、そわそわして、まっかになることが、おおいです。

たぶん、いまのこも、こんどあったら、もぅなにも、いわないきがします。
もぅ、わたしのちかくにすら、こないとおもう。

やっぱり、まさこは、むくちのほうが、とくなのです。

わたしは、また、おはなさんたちと、こころで、おはなしをはじめました。
すると…。
「まさこっ!やっぱり、あんた、ここにいたのねっ!ひとりでいっちゃ、ダメだって、いつもいってんでしょっ!」
そのこえは、まさこのおかあさんでした。
「…。」
「でんわあったんだよっ!あんたが、ひるごはんたべてから、いなくなったってっ!イタタタッ…」
おかさんは、ひざをさすりながら、そぅいいました。
「…。」
「もぅ、かんべんしてよぉっ…さいきん、ひざいたいって、いってんでしょっ!あいかわらず、こしもいたいしぃっ!」

もともと、こしがわるいおかあさんは、さいきんはひざも、すごくいたいらしい。
「…。」
「まいにち、あんたのおくりむかえだけで、せいいっぱいなのっ!」
「…。」
こんなに、いいおてんきのひに、へやですごすのは、からだにわるいとおもう。
「おとうさんは、もぅいないんだから、あんまり、せわかけないでっ!さぁ、きょうはもぅ、おうちかえるよっ!」
「…。」
とっても、ざんねんだけど、きょうはここまでだ。

あきらめて、だまって、コクリとうなずく。
「そういえば、あんた。スマホなんどもならしたでしょ? 」

「…。」
まさこは、ここにくるまえに、スマホからでんちを、だしておいた。
すぐに、でんわがなるとおもって、くるまえに、だしといたのだ。

だしたでんちを、ポッケからだして、おかあさんにみせる。
「どこで、そんなことおぼえたのっ!こんどでんちだしたら、これからズゥーッと、オヤツなしだからねっ!」
「…。」
「でんちだしちゃダメッ、わかったぁっ!」
だまって、コクリとうなずく。
でんちを、ぬくさくせんは、しっぱいだった。
まさことおかあさんは、てをつないでゆっくりあるいて、おうちにむかった。
「イタタタッ…アイタタタッ…。」
おかあさんは、おうちにつくまでに、なんどもそういって、そのへんにこしをおろした。
「あたしが、こんなざまじゃあ、もぅそろそろ、おくりむかえも、できないよ…。」
おあかさんはさいきん、よそのひとにあうと、よくそんなことを、いうようになった。

まさこだって、ひとりで、かよえるのに…。

しょくぶつこうえんだった、コメダだって、スタバだって、ひとりでいけるもんっ!

まさこはもぅ、おおきいのに、みんな、しんぱいしすぎだよっ!

「だれか、ほかに、たのめるひとが、いるといいのにね。まさこちゃんを…。」

「おとこは、だめだしね、うちのまさこには…。」

「…そぅ、ねぇ…。」

わたしを、おとこのひとに、ちかづけるのは、よくないらしい。

そんなことを、まわりの、おとなのひとたちは、よくいっている。

やっぱりみんな、しんぱい、しすぎだ。
まさこは、おとこのこに、イジワルなんてしないよっ!

「ほんとに、こまったもんだよ、こいつには。オバカのくせに、どこのだれに、にたのか、みてくれだけは、とびぬけてやがる。」

そんなことをいうときは、おかさんはいつだって、かなしそうなおかおで、わたしのことをみる。

まさこには、よくわからないが…。

「40すぎて、やっとさずかったとおもったら、こんな、オバカがでてきちゃって…。」
「ダメダメッ。それは、もぅいわないの。でもさぁ、ここまでの、すごいびじん、なっかなかいないわよ。」
エッヘンッ!
まさこは、びじんさんなのだぁっ!
だけど、まさこが、びじんさんっていわれると、おかあさんは、すぐに、こんなことをいう。
「どうせオバカなら、ブスでチビでデブでよかったんだよっ!かみさまをうらむよっ、あたしはっ!」
「またすぐ、そんなこというぅ…まさこちゃん、かわいそうだよぉ…。」
「いままで、このみてくれで、どくれくらい、あぶないめにあったことかっ!」
おかさんは、しんぱいしすぎだ。
まさこは、あぶないめに、あったことなんか、いちどもないのに。
「そうよねぇ…さいきんって、いつだっけ?」
「えぇっとね…2ねんはん、くらいまえ。そのとしに、がっこうそつぎょうしたばかりの、まだわかい、おとこのこよ。」
「あぁ、そぅそぅ、そうだったわね。」
「 〈ふたりで、おきがえのれんしゅう、しようかぁ…〉って、まさこにいってるのを、うしろで、きいてたのがいて、たすかった。」
「あれ、あぶなかったわよねぇ。」
「ふんっ。そのこ〈ぼく、じぶんでもわからない。きがついたら、あんなことを…〉って、いってたけどさ。」
そんなことが、あったなんて、わたしはおぼえてない。
だけど、おふろにはいるときは、いつも、ふくはぜんぶぬぐのになぁ…。
おようふくは、どこでもぬいじゃダメなんだ。

おようふくをぬぐのは、おふろだけ。
もぅ、おぼえたから、しんぱいないよ。
まさこ、だいじょうぶたよ。おかあさんっ!
と、おくちにはださず、こころのなかでいう。
「そのつぎはね、たしか、1ねんくらい、まえ。70すぎの、そうじのアルバイトのおじいさん。」
「あったわね、そんなこと。あれも、あぶなかったわよねぇ…。」
「 〈オジサンとおトイレのれんしゅう、しようかぁ…〉って、おとこようのこしつに、つれこまれそうになった。」
「どうして、たすかったんだっけ?」
「ちょうど、こしつから、でてきたひとが〈なんでふたりでここいるの?〉ってね…。」

「あっ、そうか。おもいだした。」
まさこ、おトイレなんて、もぅ、ひとりで、できるもんっ!
「あたしはね、わかるんだよ。よのなかのおとこたちが、まさこのこと、どぉゆぅーめで、みてんのかぁ。」
「まぁ、そりぁゃ…しかたないかもねぇ、おんなからみても、いろっぽいもん。まさこちゃん…。」
まさこのことを、みまわしながら、いつもみんなは、そんなことをいう。
いろっぽいのいみは、わたしにはぜんぜん、わからない。

だけど、もぅすこしだけ、おおきくなったら、ぜったい、わかるとおもう。
「だいぶまえから、ほとんど、しゃべんなくなったからさ。なにかんがえてんのか、まったく、わかんないわよ…。」

まさこは、ちゃんと、こころでおはなし、してますよーだっ!

「でも、まさこちゃんって、しゃべんないと、ほんと、おにんぎょうさん、みたいよねぇ…。」

「あははっ!じゃあ、さびしいおとこのあいてする、そぉいぅ、にんぎょうのしごとでも、させようかしらねっ!どうせ、このとしになったって、なんのしごとも、できないんだからねっ!このバカはっ!」

てをつないだおかあさんと、やっと、おうちについた。

「まさこ、てをあらっといで。いまから、オヤツのホットケーキ、やいてあげるから。」

「…。」
コクリとうなずく。


わたしは〈まさこ〉。
ひまわりぐみ・25さい。


小説 まさこ日記 ②

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4 件の返信 (新着順)
まっちゃ
2026/05/16 22:29

とるく保育園かくりーむ保育園のイメージが強過ぎます。📛

abcd
2026/05/15 10:55

TORQUEstyleにも育児ママのTORQUEユーザーが何人かいますね

百千鳥 バッジ画像
2026/05/15 10:50

ついに作家デビュー👏👏👏㊗️おめでとう

貸枕考古 バッジ画像
2026/05/15 10:49

まさこさん、こんにちは♪
新作の小説拝読させていただきました。 以前、まさこさん小説にお誘いいただいてから、ずいぶん電子書籍の読み方にも慣れてきましたし、『迷子』にならずに最後まで読めるようになりました✌
今回の新作は、『まさこ』ちゃんのココロが分かるプロローグとして充分にまとまった内容だと思いました。 これまでとはまた異なる作風で新境地の開拓ですね♫
また読ませてください。 楽しみにしております☺️