TORQUEと冬 7
白銀のプロローグ
夜半から降り続いた雪は、標高を上げるにつれて積雪を増し、朝の山はすっかりモノトーンの静寂に包まれていた。足を踏み出すたびに、きゅっと雪が鳴る乾いた音が冷えた空気に響く。昨夜の天気予報が告げた通り、今日の気温は氷点下を大きく下回り、吐き出す息は瞬く間に凍てつくような白い霧へと変わっていった。
手袋のままでも確実につかめる防寒ギアの重武装を整え、アウターの胸ポケットからTORQUEを取り出す。極寒の環境下ではバッテリーの急激な消耗や液晶の反応低下がスマートフォンの弱点となりがちだが、このタフな相棒はそんな心配をあざ笑うかのように、何の躊躇も見せずにシャキッと起動した。画面には、昨夜のうちにダウンロードしておいた白い等高線が描かれたオフラインの雪山マップが鮮やかに浮かび上がっている。
ふと本体を見下ろすと、秋の渓谷で刻まれたあの深い擦り傷の横に、今朝の冷気で凍りついた微かな霜の結晶がキラキラと付着していた。季節が秋から冬へと完全に衣替えを果たしたことを、その小さな氷の粒が静かに教えてくれる。
「行くぞ」
独りごちて画面をスリープさせ、再びポケットへしまい込む。周囲の木々は雪の重みで静かに頭を垂れ、世界はどこまでも白く澄み切っていた。冷たい風が頬を刺す中、私たちは新たな季節の足跡を刻むため、白銀へと続く真っ白なトレイルへと一歩を踏み出した。

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投稿を表示吐き出す息が白い霧へ。きゅっと雪を踏みしめる音。短い描写の中に、臨場感が溢れてます。
冬の早朝、雪山に入る時の抑揚と緊張感‥良いですね😺👍️
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投稿を表示前にTORQUE文学という投稿がありましたね。いつの間にか消えていて残念でしたが復活ですね。