TORQUEトーク

2026/05/02 01:54

温泉岩魚 ②中編

画:mw_me  文:イワナ

水溜まりで暴れる巨大なイワナ‥しばらく呆気にとられてこの光景を見ていたのだが、苦しそうにもがく大岩魚の様子が、ひどく哀れに思えた‥なんとか助けたい。でも、渓流ネットにはとても入らないだろう。よしんば水に入って岩魚を抱き留めたとしても、淵に運ぶまでに暴れられたら‥岩の上に落として致命的なダメージを与えてしまうかも知れない。


考えた挙句、淵から水溜まりまで魚道になる水路を掘って、水を流し込み、岩魚を追い込んで淵に帰らせる。これが最善策と結論づけた‥ただ、かなりの労力と時間が掛かるのは明白だ。

大きな石をどけ、砂利を掘って深さ30センチほどの水路を作る‥渓流釣りに来て、まさかこんな重労働をするとは思わなかったが、それでも水溜まりから淵まで2メートルほどの短い距離。汗だくになりながら、何とか1時間ほどで水路は完成した。

その後、岩魚を追い込み、水路に入る所までは良かったのだけど‥水路が浅く、岩魚は横になってしまい、自力で泳いで遡れなかった。手抜き工事を悔やみつつ、岩魚の腹に手を添え、引くようにして誘導する。やがて、淵まで辿り着くと、大きな影はゆっくりと深淵へ消えていった。

ふと、偏光グラス越しに淵を覗いてみると、大小無数のイワナたちが群れを成して泳いでいた。やっと気付いた‥ここまで一匹の岩魚も見掛けなかった理由。

彼らは渇水を逃れるため、この淵まで登って来たのだ。そして、雨が降る日を待ちわび、淵の底でじっと身を潜め、耐え忍んでいる。
恐らくは餌もろくに食べれていない、この岩魚の群れにルアーを投じたら、釣り堀のように爆釣するだろう。動画を撮ってSNSに投稿すれば、かなりの閲覧数になるかも知れない。

けれども、そんな気にはなれなかった‥そっとロッドを仕舞い、今日の釣果を諦める。淵に背を向け、少し下流にある露天風呂温泉を目指した。

川岸にある露天風呂に着いて乳白色の湯に身を沈めると、あまりの心地良さに眠気が差して来る‥平日で誰も居ない貸切り露天風呂。新緑の木漏れ日に春蝉の鳴き声‥熱くもぬるくもない丁度良い湯に包まれながら、俺はいつの間にか気絶するように、深い眠りに堕ちて行った‥

つづく

1件のコメント (新着順)
mw_me
2026/05/02 08:56

山の露天風呂気持ちよさそう ですょ~~―🦌😊☕


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退会したユーザー
2026/05/02 10:06

ゆであがって寝るほどに。。

mw_me
2026/05/02 10:12
  • 退会したユーザー 退会したユーザー

👍ゆっくり 時には早く そして優しく

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退会したユーザー
2026/05/02 10:16

ん~~答えたいが
それにw答えるは、身を滅ぼす
🙅