TORQUEと街歩き~その時~ 3
自宅の最寄り駅を降りると、夜風が一層冷たく感じられた。冷え切った空気が心地よく、コートの襟を少しだけ立てる。
家の玄関の扉を開けると、ほっとするような我が家の香りが迎えてくれた。
リビングの隅、物置の奥から引っ張り出してきたダンボール箱が、今日のところはそのままの姿で鎮座している。
中には、子供の頃に夢中になって組み立てた懐かしいプラモデルの箱や、パーツのランナーがぎっしりと詰まっている。
コートを脱ぎ、まずはキッチンへ。
グラスにたっぷりの氷を放り込み、グラスの縁を撫でるように冷たい炭酸水を注ぐ。
そこに、愛用のウイスキーを静かに傾けると、パチパチと心地よい音が弾けた。
スライスしたばかりの新鮮なライムをキュッと絞り入れ、マドラーで軽く一かき。
立ち昇る爽やかな香りと重厚な琥珀色の液体が、今日一日の歩みを静かに締めくくってくれる。
冷えたハイボールを一口含み、ふっと息をつく。
リビングのテーブルには、今日一日、ポケットの中で相棒として寄り添ってくれたTORQUEが無造作に置かれている。
画面を点けると、街歩きの中で何気なく切り取った路地裏の野草や、赤提灯の灯りが鮮やかに蘇った。タフなボディに刻まれた細かい擦り傷さえも、まるで自分だけの物語のワンシーンのようだ。
グラスを傾けながら、ダンボール箱から一つ、古びた箱を手に取る。
明日は少し、あの頃の続きを組み立ててみようか。
静かな部屋に氷の溶ける音が響く中、心地よい疲労感と確かな充実感が、ゆっくりと身体に染み渡っていった。

ミュートしたユーザーの投稿です。
投稿を表示乾杯🍻
ミュートしたユーザーの投稿です。
投稿を表示TORQUEとウィスキーが奏でるショートストーリーに👍️🥃